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2018年5月24日

改正でどう変わる?
職業安定法の基本と改正のポイントを抑えよう

職業安定法が改正され、2018年1月1日より施行されました。
これにより、求人を行う際の労働条件の明示などが強化され、求人、採用を行う側が留意すべき点が増えています。では、どのような点が変更されたのでしょうか。

この記事の目次

01: 職業安定法とは

職業安定法は、求職者にそれぞれの能力に合った職業に就く機会を与えるとともに、企業側が必要な労働力を確保し、職業の安定を図ることで経済を発展させていくことを求めた法律です。

職業安定法の基本的な説明と今回の改正におけるポイントをわかりやすく動画にまとめましたのでまずはこちらをご覧ください。

02: 法改正の背景

今回の改正は、以下の基本的な考え方に基づいたものとされています。

  • 1. 職業紹介や募集情報の提供など求職や求人にまつわる事業が多様化する中で、求職者と採用者の間で起こり得る問題に的確に対応していくこと、また双方にとってより適切で円滑なマッチングを進めていくことが求められている。
  • 2. 労働市場における労働力の需給調整に関わる事業は、役割に応じて適格な責任が果たされなければならない。このため、まずは、求職者保護を基本に、それぞれの能力に合った職業に就けるよう、事業が適正に運営される取り組みを強化していくことが重要である。また、求職者及び求人者の利便性を向上させることも必要である。

03: 改正のポイント

労働条件の明示が必要なタイミング

ホームページなどで求人を募集する際には、労働契約の締結までに正しい労働条件の明示が必要です。

明示が必要な項目が追加に

最低限明示が必要な項目が追加されました。

労働者の募集や求人申込みの際に、少なくとも以下の事項を書面の交付によって明示しなければなりません。ただし、求職者が希望する場合には、電子メールによることも可能です。

[記載が必要な項目] [記載例]
業務内容 一般事務
契約期間 期間の定めなし
試用期間 試用期間あり(3か月)
就業場所 本社(●県●市●ー●) 又は
△支社(△県△市△ー△)
就業時間 9:00〜18:00
休憩時間 12:00〜13:00
休日 土日、祝日
時間外労働 あり(月平均20時間)

裁量労働制を採用している場合は、以下のような記載が必要です。★
(例)「企画業務型裁量労働制により、○時間働いたものとみなされます。」

賃金 月給20万円(ただし、試用期間中は月給19万円)

時間外労働の有無に関わらず、一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)を採用する場合は、以下のような記載が必要です。★

  • ① 基本給××円(②の手当てを除く額)
  • ② □□手当(時間外労働の有無に関わらず、◯時間分時間外手当として△△円を支給)
  • ③ ◯時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
加入保険 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険
募集者の氏名又は名称 ◯◯株式会社
(派遣労働者として雇用する場合) 雇用形態:派遣労働者

今回の改正により追加等された事項

追加された項目の概要は以下の通り。

【試用期間】
試用期間がある場合は、具体的な期間(何ヶ月、何日、何週間)を明示します。
本採用後と労働条件が異なる場合は、異なる条件の内容も明示します。
【派遣労働者の募集】
派遣会社が派遣労働者を募集する場合、雇用形態を「派遣労働者」と明示します。
【裁量労働制の場合】
裁量労働制を採用している場合は、専門型または企画型のいずれの型であるか、また何時間働いたものとみなされるかの時間を明示します。
【固定残業代制の場合】
時間外労働の有無にかかわらず、一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)を採用する場合は、①基本給 ②固定残業手当の金額と相当する時間数 ③固定残業手当分を超えて労働した場合の割増賃金を追加で支払うことを明示します。
【募集者の氏名または名称】
今回の求人で、実際に労働者を雇用しようとしている者の氏名又は名称を明示します。

これらの項目に関しては、掲載予定の求人票や求人広告のスペース不足など、やむを得ない場合に限り、「詳細は面接時にお伝えします」などを記載することも可能ですが、原則として内定までには必ず求職者に書面で明示する必要があります。

労働条件の変更が発生した場合の対応が新設

当初提示した情報から変更があった場合には、できるだけ早くその変更内容を求職者に明示する、というルールも新設されました。その場合は、求職者に変更点がわかりやすく伝わるように記載した上で、書面またはメールにて提示します。

  • ①「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
    例)当初:基本給30万円/月⇒ 基本給28万円/月
  • ②「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
    例)当初:基本給25万円~30万円/月⇒ 基本給28万円/月
  • ③「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
    例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月⇒ 基本給25万円/月
  • ④「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
    例)当初:基本給25万円/月⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月

例えば、上記のような変更が生じた場合には明示が必要です。

具体的には、当初の内容と変更後の内容を照らし合わせる書面を作成する、新たな労働条件通知書で変更があった部分に下線を引く、着色して目立たせる、などの方法があげられます。

変更して明示する場合でも、当初の求人内容を安易に変更するのはNG。
変更内容の明示が適切に行われていない場合や、虚偽の内容を記載、または不十分な場合は、行政指導や罰則等の対象となる場合があります。 また、すでに変更済みであっても当初の明示が不適切であった場合には同じく罰則等の対象となります。

厚生労働省が作成したリーフレットが、ホームページに掲示されていますので、そちらもチェックしてみましょう。

◆厚生労働省リーフレット