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理容・美容業界をとりまく環境
矢野経済研究所によると、2015年度の理容・美容業界の市場規模(事業者売上高ベース)は2兆1,658億円と推計されており、内訳は、理容業界が6,438億円(前年比0.5%減)、美容業界が1兆5,220億円で構成されています。
理容業界の内訳は、理髪市場4,535億円、その他市場が1,903億円で、施術内容の充実化とセットメニューによる売り上げがメインです。
美容業界の内訳は、パーマネント市場3,695億円、カット市場2,930億円、セット市場580億円、その他市場が8,015億円となり、ヘアケアやスカルプに関する施術とヘアケア関連物品販売の売上が好調です。
理容・美容業界それぞれの従事者数と施設数は、厚生労働省によると平成27年3月末の理容師数は23万1,053人、理容所数は12万6,546ヶ所で、美容師数は49万6,697人、美容所数は23万7,525ヶ所です。
2016年4月に理容師法施行規則と美容師法施行規則がともに改正され、条件を満たせば理容所と美容所を同一店舗で開設することが可能となるため、理容・美容業界それぞれの施術やサービスが一層多様化し、業界の活性化につながっていくことが期待されています。また国内市場だけでなく海外市場へ参入する事業者も出現し、直営のサロンチェーンをアジア諸国に設置したり、現地企業とライセンス契約を提携したりすることにより海外事業展開しています。商圏を拡大することで、国内需要だけでなく海外需要も獲得する動きが見られます。
(2016年10月31日)
理容・美容業界の採用動向
厚生労働省の調査によると、平成28年7月時点での生活衛生サービスの有効求人倍率は3.5倍で、有効求人数43,272人に対して12,344人の求職者しかいないという状況となり、人材不足が懸念されます。
理容師と美容師はいずれも国家資格が必要なため、他業種から人材を流入することが難しく、理容美容の専門学校へアプローチをかけ新卒者を採用する方法と潜在している理容師・美容師を発掘する方法によって人手不足の課題が解消されます。
理容業界は、利用者ニーズの多様化によって性別や年齢を問わなくなり、女性の理容師も増えている傾向です。従来型の理髪店の需要よりも、店舗の雰囲気やアメニティを重視した店舗や、短時間で施術できる店舗の需要が高い状況です。他店舗との差別化を図ることや、チェーンへ加盟することなど経営力を強化することで、理容師が応募したくなる求人を出すことができるでしょう。
美容師であればブライダル業界やファッション業界などへ転向しやすくなるメリットもあるため、活躍できる場を増やすために美容師を目指す人が多いです。さまざまな技術を身につけることができる職場である点をアピールできれば、たくさんの応募を集められるでしょう。また、「短時間で」「カットだけ」という利用者ニーズに応えるために、カットの技術を持った理美容師を求人募集することも必要です。
理容・美容業界は飲食店業などとは異なり、初期費用を抑えて開業することが可能であるため、新規参入しやすい状況です。人材確保できなければ十分なオペレーションを行うことができず、廃業する可能性も出てくるでしょう。だからこそサービス内容に特徴をもたせて、利用者ニーズに応えられる経営をする必要があります。
(2016年10月31日)
理容・美容業界の採用のポイント
利用者の要望や希望に沿った施術をすることが求められているため、しっかりと「ヒアリングできる能力」が必要です。ヒアリング能力があったとしても、それを実現する技術がなければ要望や希望に沿うことができないため、「技術力」も求められます。提供するサービスの品質を向上するためには、トレンドやファッションに関する情報を積極的に取り入れて、「創造性・センス」の要素を常に意識しているかどうかも採用するポイントです。
忙しい利用者ニーズに応えるためには、短時間で要望通りに仕上げるという高い技術力を要します。また短時間で多くの人を施術することができれば売上も伸びるため、自分の技術を高めるために惜しみなく努力できる姿勢があるかを見極めることが必要です。求職者のスキルによっては採用後に身につけなければならない技術があることを面接時に伝えれば、就職後のミスマッチを防ぐことができます。
長く働いてもらうためには、やりがい、達成感や充実感を感じてもらうことが重要です。それが「働きやすさ」につながり、また活き活きと働くスタッフがいる店舗づくりをすることが、利用者の再来店率を高めることに寄与するでしょう。
(2016年10月31日)
理容・美容業界の仕事・業務内容
理容師の仕事は、利用者の容姿を整えることです。ヘアカットや顔そりなどを行い、必要に応じて頭皮ケアやカラーリングをします。
理容師になるためには、理容師養成施設を卒業し、理容師国家試験に合格しなければなりません。理容師養成施設には、昼間の学校(2年課程)だけでなく、夜間学校(2年課程)や通信教育(3年課程)も用意されているため、他業種から転職することも不可能ではありません。「管理理容師」は、理容師免許を取得した後3年以上の勤務経験者が得られる資格で、店舗の責任者としての資格を得ることができます。
美容師の仕事も理容師同様に利用者の容姿を整えることが目的ですが、美しさを追求することも加わります。髪型を整えるだけでなく、マニキュアやメイク、着付けまで行う場合は長い時間にわたり近い距離で接客を行うことから、店舗の空間や施術する人の雰囲気が非常に重要です。美容師になるためには、厚生労働大臣指定の美容師養成施設を卒業し、美容師国家試験に合格する必要があります。理容師養成施設同様に、昼間(2年課程)、夜間(2年課程)、通信教育(3年課程)で学ぶことができます。美容師免許取得後3年の勤務期間と都道府県知事が指定する講習を受ければ「管理美容師」の資格を得ることができ、独立開業も可能です。
理容業界と美容業界はそれぞれ「理容師法」と「美容師法」によって区分されているため、資格や施術内容が異なります。2015年6月に規制緩和が行われる以前は、男性が美容室でヘアカットだけすることや女性が理容室でパーマネントすることが認められていませんでした。しかしライフスタイルの変化によってこの法規制が時代に合わないとして規制緩和されることになり、理容業と美容業の垣根がなくなってきているのが現状です。
(2016年10月31日)