求人広告 2019/02/8

最低賃金って何?求人広告の掲載前に理解すべきリスクとは Reporter : 伊達

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こんにちは。「時流を読む」という言葉が好きな伊達です。

「平成30年10月1日から東京都の最低賃金が改正された」、「最低賃金を下回っている労働者の割合が最も高い都道府県が判明」など、テレビや新聞、ニュースサイトなどを見ていると「最低賃金」というワードを目にすることがよくあります。

無関係な人にとっては“よくあるニュース”に過ぎませんが、経営者・人事担当者にとっては他人事ではありません。なぜなら、最低賃金を守らなければ企業に罰則が科される可能性もあるからです。

後で大きな代償を支払わずに済むよう、最低賃金制度の本質や求人広告を出稿する前に理解しておくべきリスクを押さえておきましょう。

最低賃金の役割は「労働者を守る」だけじゃない!?

最低賃金は、最低賃金法にもとづいて国が定める賃金の最低額のことです。最低賃金法はさまざまなパワーバランスによって労働者(パート・アルバイト・正社員など)が不当に安く雇用されるのを防ぐこと、そしてそれによって労働者の生活の安定や労働力の質的向上などを実現し、国民経済の健全な発展に寄与することを目的につくられました。

法律を守るには、企業は最低賃金額以上の賃金を従業員に支払わなければなりません。ここだけを切り取ると「労働者を守るための制度」のように見えますが、同法は「労働力の質的向上」にも触れています。これについて厚生労働省は、以下のように言及しています。

最低賃金制の実施は、下記の理由によって、「労働力の質的向上」、すなわち労働能力のすぐれた労働者を確保することに役立つものと考えられる。
(1)賃金の上昇によって、優秀な労働者を雇い入れることが容易になること
(2)労働者の生活が安定することによって、労働能率の増進がもたらされること
(3)労働者の収入の増加によって、労働人口中家計補充的な不完全就業者が減少すること
出典:厚生労働省『最低賃金制度の意義・役割について』

少子高齢化やライフスタイルの多様化などによって、ここ日本では人手不足が深刻化しています。そしてこの傾向は、今後さらに強くなっていくでしょう。労働者を雇う側の経営者・人事担当者にとって法律を遵守することはもちろん重要ですが、ただ「守る」だけでは不十分。最低賃金の制度を守ることによって得られる質的向上を、事業経営や会社経営の改善・発展につなげる「攻め」の戦略が必要です。

人事が最低賃金を理解しないとどんなリスクが?

とはいえ、「攻め」の前にまずは「守り」を正しく固めなければなりません。では、最低賃金制を守らないとどんなリスクがあるのでしょうか?

書類送検され、罰金が科せられる

仮に最低とされる額よりも低い賃金を支払っている場合、それが労働者との合意のうえであっても「違法」とみなされます。パートの時給、アルバイトの時給、正社員の時給が最低賃金額を下回っており、その差額を支払わない企業に対しては指導(是正勧告)がなされます。この是正勧告を無視したり、改善が十分でなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合、「悪質」と判断されれば書類送検(司法処分)され、50万円以下(ケースによっては30万円以下)の罰金が科せられます。

本業に支障が出るなどさまざまな弊害を招く

最低賃金法に違反すると、会社に調査のメスが入ります。経営者や人事担当者はこの対応に膨大な労力を使わざるを得なくなり、本業に支障をきたす可能性が高くなるでしょう。また同時に、企業のイメージダウンも避けられません。現従業員のモチベーションが低下したり、求人広告からの応募が減ったりするなどの影響も考えられます。

求人広告における、最低賃金に関する注意点

求人広告を出稿する前に、把握しておきたい「リスクの種」についてご紹介します。求人広告に情報を記載する際は、以下の点に十分注意しておきましょう。

都道府県によって金額が異なる

店舗・事業所などが複数あり、違う都道府県で採用活動を行う場合には、都道府県によって最低賃金が異なることを理解しておく必要があります。

試用期間でも原則最低賃金は無視できない

試用期間でも、原則として最低賃金を守る必要があります。「試用期間後の給与には気をつけていたのに、試用期間中の給与が最低賃金額を下回っていた……」というケースは意外によく見かけるので注意が必要です。

固定残業制の場合は3項目の明記が必要

求人広告には記載しなければならない12の項目(求人広告掲載明示項目)がありますが、固定残業制を採用している場合は加えて「固定残業代の定額」「その金額に充当する労働時間数」「固定残業代を超える労働を行った場合に追加支給する旨」の3項目を明記しなければなりません。月給に固定残業代を含めた形で最低賃金額を割り出すと基準を下回ってしまう可能性があり、その点に対する不安を招かないようにするためのルールです。

「守り」も「攻め」も意識した採用活動を

アルバイトやパート、正社員の給与(時給)を考える際は、最低賃金のルールやリスクを十分に考えなければなりません。最低賃金についてもっと詳しく知りたいという方は、以下のページをご覧ください。最低賃金の理解を深めてまずは鉄壁の「守り」を築き、それができたら「攻め」も意識した積極的な採用活動を行いましょう。

さらに詳しく知りたい方はこちら
給与設定の前に必ずチェック!最低賃金制度しっかりと守れていますか?

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